執筆日:2021.02.17

司法書士事件簿1「前妻との間に子どもがいる」

司法書士

藤浪智央
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司法書士の藤浪です。

今日は、先日ご相談にお見えになった田中一郎さん(仮名)のお話です。
田中さんは私と同世代の40代。
相続・終活といったことに関してはもう少し上のシニア世代の方からのご相談が多いので、てっきり親御さんについてのご相談かと思ったら、田中さんご本人に関する相談とのこと。

田中さんは奥様と中学生の息子さんの3人家族。最近、マイホームを購入し幸せに暮らしているとのことで、争族とは無縁そう・・・
ところが、お話を伺うと実は田中さんには離婚歴があり、前の奥様との間にもお子さんが1人いらっしゃるとのお話。
日本の離婚率は約35%前後、平成27年度の厚生労働省の調査によると離婚件数は22万件にのぼるそうです。田中さんのような方は決して珍しくありません。

「前の妻との間の子供とは、もう何年も会っていません。でも、本で読んだのですが、私にもし万一のことがあったら、今の私の妻はその子に連絡をとって、私の遺した財産を渡さなければならないのですよね?妻はそのことを心配しているのです。」と田中さん。

確かに、田中さんにもし万一のことがあったときには、今の奥様と息子さんだけでなく、前妻との間のお子さんも相続人に含まれます。

田中さんとしては、前の奥様との間のお子さんにはもちろん養育費は払っているが、ほとんど交流もなく、その子が成人したあとは、将来自分に万一のことがあっても財産を遺してあげることまでは考えていないとの話。
そこで、私は田中さんに遺言書を作ることをご提案しました。遺言書を作成しておけば、遺産分割協議をしなくても田中さんの財産を今の奥様と息子さんに引き継がせることができます。ただし、遺留分には留意する必要があります。
(遺留分については、前回のコラム「遺言相談ファイル1 親と同居の不動産を相続したい」も是非ご覧ください。)
私は、遺留分についての説明をした上で、例えば生命保険を活用した対策もあるということをお話させていただきました。
田中さんがお亡くなりになった際、契約者が田中さん自身で今の奥様を受取人とした生命保険契約があった場合、その保険金は相続財産には含まれません。(判例によって、受取人である奥様の固有の権利とされています。)
もし、前の奥様との間のお子さんから遺留分侵害額請求があったら、この保険金を支払いにあてることができます。
ただし,あまりにも極端な方法による場合(たとえば、財産のほとんどを使って生命保険契約をしている)には、判例で相続財産に持ち戻し(加える)しなくてはならないとされているので注意が必要です。
田中さんは、ちょうど知り合いの保険会社のライフプランナーの方から保険の見直しの提案を受けているとのことで、そちらも相談してみるとのことでした。
後日、保険の見直しに関する結果も踏まえて、田中さんは公正証書で遺言を作成されました。

AGORA相続サポートプラザでは、ご年齢を問わず、それぞれの皆様の事情に応じたご相談に対応させていただきます。
「まだ先の話だから・・・」とお考えの方も是非一度、ご自身のことについて考えてみてはいかがでしょうか。
■◆■このブログ担当者 司法書士 藤浪智央◆■◆
静岡市出身。地元の信用金庫勤務を経て平成21年司法書士登録。家族は妻と小学1年生の長男。プログラミングの必修化やアクティブ・ラーニングなど子供の教育環境が変化する中、親として子供にどのようなことを学ばせるか、体験させるかなど、日々模索中。