執筆日:2021.02.03

遺言相談ファイル2の2「お子さんのいないご夫婦 親戚に迷惑をかけたくない」

司法書士

島武志
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山田さんご夫婦からのご相談のつづきです。
お二人は、どちらが先に亡くなっても、お互いが全ての財産を受け取り、二人ともが亡くなったら、全てを姪の由比さんにのこせるよう、夫婦それぞれが遺言を書くことにしました。

しかし、まだ心配なことがある様子です。
富士子
「私たちの財産は、自宅の不動産と預貯金です。由比に全て渡したいけれど、由比には自分の住む家があるし、私たちの家を受け取っても困るんじゃないかしら。それが気になるんですが…」


「なるほど。それならこんな方法がありますよ。
『清算型遺贈』という言葉を聞いたことがありますか?」

静雄
「『清算型遺贈』、ですか?」


「はい。簡単にいうと、遺産の全部または一部を売って、必要な経費などを支払ったうえで、残ったお金を相続または遺贈する方法のことです。
遺言書に、この方法で相続させる(または遺贈する)ことを、書いておくと、由比さんには不動産ではなくお金を渡すことができます。」

富士子
「そんな方法があるんですね! 知りませんでした。」

「清算型遺贈の場合、財産を売却したり、手続きに必要な支払いをしたりする人が必要になります。この人のことを『遺言執行者』と言います。もちろん由比さんに執行者になっていただくこともできるのですが、それは避けたいですよね?」

富士子
「葬儀などについては由比にお願いするしかないと思っていますが、それ以上の迷惑はかけたくないです。」

静雄
「私も同じ気持ちです。」


「それでしたら、私どもが遺言執行者となって、由比さんに財産をお渡しするお手伝いができます。いかがでしょうか。」

静雄
「そうしてもらえると助かります。」


遺言執行者は遺言の中で指定するので、私どもがお引き受けすることを書き足しましょう。」

静雄
「いろいろと教えていただき、ありがとうございました。由比にも話をしておきたいので、今度は由比も連れて来てもいいですか?」


「もちろんです。次回は三人でいらしてください。」
後日、由比さんと共にお話をさせていただき、ご納得いただけたので、遺言を作成しました。

山田さんご夫婦の相談、今回は少し難しい内容でしたが、わかっていただけたでしょうか?
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ーーーこのコラム担当者  島 武志/司法書士-------
大学では経済学を専攻し卒業後は銀行に勤めるも、突如法律の分野に興味を持ち、退社の後、現在に至る。
30代までは夏はロードバイク、冬はスキーを趣味とし、比較的アクティブな週末を過ごすものの、40代への突入を境に仕事を言い訳に活動量が低下。
近年は狩猟免許を取得するなど、アクティブな自分を取り戻すべく奮闘中。
専門分野は相続、遺言、民事信託、不動産、企業法務など。
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