執筆日:2021.01.27

遺言相談ファイル2「お子さんのいないご夫婦の場合」

司法書士

島武志
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AGORAサポートプラザに仲の良さそうなご夫婦がご相談に訪れました。
相 談 者  山田静雄さん(75才) 富士子さん(70才)
担当司法書士 島武志(46才)
静雄 
「夫婦で老後について話してみたんですが、私たちには子供がいないので、二人とも亡くなった後のことが心配になって。
近くに住む姪の由比がいつも気にかけてくれていますが、あまり迷惑もかけたくないですし。どうしたらいいでしょうか?」
   
「まずはお二人のご希望を伺えますか?
ご夫婦でどんな老後を過ごしたいとお話されたんでしょうか?」
富士子
「最後まで健康で、自宅で暮らしたいです。
二人とも亡くなった後に残った財産は、姪の由比に受け取ってもらいたいです。」
 
「そうですね、いつまでも元気でいたいですよね。
では、私から、相続関係について、いくつか質問させてください。お二人のご両親は、ご健在ですか?」
静雄
「既に他界しています。」
 
「ご兄弟、ご姉妹はいかがでしょうか?」
静雄
「私には兄が一人います。
富士子には、姉がいましたが、先日亡くなりました。その姉の一人娘が由比です。」
 
「ということは、静雄様が先に亡くなられた場合には、相続人は奥様とお兄様、
奥様が先に亡くなられた場合には、相続人は静雄様と由比様、になりますね。」
静雄
「兄とは両親の相続のときに揉めて嫌な思いをしたので、私の財産は兄には渡したくありません。私は妻に全部遺したいと思います。」
 
「では、仮に奥様が先にお亡くなりになってしまった場合はいかがでしょうか。」
富士子
「私も夫に全部を相続してもらいたいです。そして、私たちの両方が亡くなったときには由比に財産を渡したいです。」
 
「わかりました。お二人とも遺言を作成されてはいかがでしょうか。内容はこんなふうになります。」
≪静雄様の遺言≫
 ①自分が亡くなった場合、妻に全財産を相続させる。
 ②自分より先に妻が亡くなっていた場合は全財産を姪の由比に遺贈する。

≪富士子様の遺言≫
 ① 自分が亡くなった場合、夫に全財産を相続させる。
 ② 自分より先に夫が亡くなっていた場合は全財産を姪の由比に相続させる。

 
「おふたりがこのような内容の遺言を作成することで、ご希望どおりの相続が実現できます。」
静雄
「遺贈って何ですか?」
 
「由比様は静雄様の相続人ではありません。相続人ではない方に財産を遺したい場合、遺贈という表現を使います。相続人ではない方に相続させると思ってください。」
静雄
「二人がそれぞれ遺言を書く必要があるんですね。私たちのどちらが先に亡くなっても、夫婦で全て相続して、最後には由比に相続させることができると知って、安心しました。」
富士子
「ただ、私たちの財産は、自宅の不動産と預貯金です。
由比に全て渡したいけれど、由比には自分の住む家があるし、私たちの家を受け取っても困るんじゃないかしら…。それが気になるんですが…」
 
「なるほど。それならこんな方法がありますよ。」

つづく
山田様ご夫妻のように、お子さんのいないご夫婦の場合、そして相続人以外の方に財産を遺したい場合には遺言を書くことをおすすめします。

実際のご相談でも、ご相談者さまのご希望を伺いながら、それを実現する方法を一緒に探しています。
相続のこと、遺言のこと、気になることは何でも、AGORAサポートプラザまでお問い合わせください。
ーーー今回のコラム担当者 司法書士 島 武志------
大学では経済学を専攻し卒業後は銀行に勤めるも、突如法律の分野に興味を持ち、退社の後、現在に至る。
30代までは夏はロードバイク、冬はスキーを趣味とし、比較的アクティブな週末を過ごすものの、40代への突入を境に仕事を言い訳に活動量が低下。
近年は狩猟免許を取得するなど、アクティブな自分を取り戻すべく奮闘中。
専門分野は相続、遺言、民事信託、不動産、企業法務など。
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